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READ EPISODE 1

Fate/orchestra plotの第一話を掲載。

※続きはPixivにて掲載しています。

​リンクはこちら↓

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11282938

《第一話 復讐者》
アヴェンジャー陣営

この俺が呼ばれるとは、珍しいこともあったものだ。


目を開けると、薄暗い市街地に佇む、とあるビルの屋上にいた。
眼下には二人の男が見える。

一人は我がマスター、
もう一人は見知らぬサーヴァントだ。

この状況下では誰が見ても思うだろう。
“マスターの命が危ない”ということに。


咄嗟に、魔力でできた炎弾をサーヴァントめがけて放つ。
しかし、すでにこちらに気づいていたようだった。
そのサーヴァントは軽やかにそれを躱し、
こちらを一瞥した。

初めてのマスターとの対面だというのに、
このように鬼気迫った場面というのも面白い。


俺はマスターへと話しかける。

「クッハハハハ!!!
俺はエクストラクラス、アヴェンジャー!!
お前が俺のマスターだな?」

男がこちらを向いて叫んだ。

こうして見ると、なかなか強面の男だ。
年齢は二十代後半ぐらいだろうか。
協会の神父の装いを感じさせるような装飾が、
随所に散りばめられていた。


「アヴェンジャーだと?」

その瞳に一瞬、凄まじいほどの憎悪が浮かんだ。
なるほど、俺を呼ぶに相応しいほどの感情を秘めているようだ。
だがおかしな事に、それは俺に向けられていた。

すぐに冷静な表情に戻り、告げる。

「そうだ!俺がマスターだ!
奴を殺せ、アヴェンジャー!」

先のサーヴァントは既に撤退し始めていた。

諦めが良いのか、それとも初めからそうすると決めていたのか。

周りの建物を蹴り上げ、奴を追う。
今は真夜中だが、
俺の纏う煌々と輝く炎が周囲を照らしていた。

既に距離が離されているが、ここから見える範囲で敵を観察する。
あのサーヴァントは比較的小柄な体型をしていて、笛のようなものを持っていた。
小さなフードのようなものを被っていて、顔は見えない。

魔力弾を数発放つ。

案の定、距離が離れすぎていて、奴には届かない。
奴はこちらを少し見やると、笛を取り出し、吹き始めた。

短い旋律を数十秒間。

何も起こらない。

しばらく追い続けると、奇妙な事に気付いた。

おかしい。

追いかけても追いかけても一向に距離が縮まらない。
むしろ、離されている。

速すぎる。
まるで、空を飛ぶかのように駆け抜けて行く。

「身体強化魔術か?
もしくは余程、足の速いサーヴァントか」


となると、アサシンもしくは、ランサーのサーヴァント。

ともかく、恐らく俺では追いつけなさそうだ。
それに、あまりマスターから離れすぎるのも良くない。
大した成果があげられないのは残念だが、追跡は諦め戻るとしようか。

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